出身地:関西
現在の年齢:39歳
患者さんの年齢:子供・患者1歳11か月 私37歳
病名:1型糖尿病(小児慢性疾患)
Contents
闘病記
▶︎闘病名、年齢、家族構成や状況
1型糖尿病を1歳の子ども(長女)が発症。家族は私(夫)と妻と生まれたばかりの次女
▶︎病気が判明した経緯と心境 または病気を告げられた時の経緯と心境
7月の大変暑い季節。それまではとても元気よく遊んでいた子供が保育園でされた健康診断で尿の糖が高いので再検査の必要があると診断されました。当時は、何か検査に異常があったのか、体調によるのかな?という程度で、保育園からも差し迫ったような指示もなく、次の定期検査で病院に行った際に詳しく検査すれば良いか、という程度の認識しかありませんでした。その後、数日後に実家でも保育園でも最近元気がないなあという印象があることと、とても多くの水分を欲しがり、夏バテで体調が悪いのかと心配をしていましたが、ある夜にずっと泣き止まず、これはおかしいと救急病院に行きました。
その時、宿直の先生が経過を問診したところ、血液検査をしましょうということで検査を待ちました。心配な心境でありながらも、単なる夏バテか風邪ですと言われることをどこか願っているような想いでしたが、先生から言われた病名に耳を疑いました。「これは糖尿病です。」 1歳の子どもの糖尿病って何? そんな病気のことなど知らない私は妻と一体、それが何なのかわからない状況でした。ただ、そんな心境は関係なしに、医師の先生は「緊急を要する状態ですので、今日からすぐ入院していただきます。血糖値を下げるための点滴を入れていきます。」 緊急入院!? そんなことを想像もしていなかった私ですが、一旦処置が終わり入院の病室へ案内されるまで、検索エンジンで調べて初めてその病気を知りました。「(日本IDDMネットワーク)1型糖尿病は、自分の体のリンパ球があやまって内乱を起こし、インスリン工場、膵臓にある膵島β細胞、の大部分を破壊してしまうことで発病します。過去のウイルス感染がリンパ球の内乱のきっかけになっている場合が多いのですが、自己免疫の病気で感染症ではありませんので、1型糖尿病が他人にうつることはありません。1型糖尿病を発症すると、自分の体の中でインスリンを作ることができなくなってしまいます。インスリンがないと、ブドウ糖(グルコース)を細胞に取り込むことができず、血管のなかにブドウ糖があふれかえることになってしまいます(高血糖)。ブドウ糖は細胞のエネルギー源として大切なものですが、高血糖状態が続くと、様々な形で血管の壁に溜まり、糖尿病特有の合併症につながります。」そんな糖尿病があるのか。という感想でしたが、一番ショッキングなことが次の記事を見た時でした。「そのため 1型糖尿病では、膵臓移植や膵島移植を受けるか、血糖測定をしながら、“生涯にわたって”毎日数回のインスリン自己注射またはインスリンポンプと 呼ばれる医療機器による注入を続ける以外に治療法はありません。」 一生インスリン注射?不治の病?嘘でしょう?心と頭の中が、真っ黒になり、夢をみているのかな。と思えましたが、とりあえず、自分の両親には伝えないといけないと思い、母へ連絡しました。1型糖尿病という病気があるらしく、一生治らないようだ。母は長年保育士をしており、色々な難病の子供もみてきたが、1型糖尿病の子どもに接したことはありませんでした。まったく病気自体のことは理解できないまま、発症と緊急入院の夜を過ごしました。病室には保護者一人しか立ち会えないため、妻を残し私は一人で自宅へ帰宅。なぜ、私を同じ病気にして娘を救ってくれなかったのか。私の命を奪ってでも娘を治して欲しい。そう涙した一夜でした。
▶︎お金・保険に関すること
長女が生まれた際、子どもの保険をどうするか検討しました。保険の専門家の友人にも意見を聞いたところ、現在の子どもの医療制度は大変優秀で、大病をしてもお金が多額かかるということは稀だ。とのことでした。もちろん我が子が難病を発症することはないとタカをくくっていたこともあり、保険に加入をしていませんでした。子どものことを想うとやはり保険はかけるべきだったとは思います。ただ、実際、子どもの医療費は、入院や通院でかかる費用も少額です。現在も月1度、大学病院で診察がありますが、診察費は200円。薬も費用はかからず、インスリン注射やポンプも費用負担なしで、借りられるという状態ですので、子どもの保険はそういう意味ではなくても何とかできたという状況です。ただ、子どもが成人した後は、インスリンポンプが月3万円程度かかり、生活の負担になることでしょう。
▶︎仕事に関すること
緊急入院から回復までおよそ2週間かかり、その後、医師の勧めで、インスリン注射ではなくインスリンポンプ(自動で体内へインスリンを投与する機器)での投薬をすることと決断したため、大学病院へ1週間付きっきりとなりました。妻は、6月に次女を出産し育休であったことと、職場も親元の会社の事務だったことから妻が付き添って入院することになりました。注射とポンプの操作を覚えるために私も1晩は付き添いました。その後は、病気とは関係なく、自身の事業も転換期を迎え、離職したため、私も妻も新しい仕事に従事することとなっています。
▶︎治療と心境
1型糖尿病の治療は、血糖測定をし、対内のグルコース値から血糖値を予測するセンサーに校正をする。インスリンは体に取り付けた小さな針から投与されるため、食前にボーラス打ちというまとまったインスリン投与を行う。3日に一度、取り付けている針を取り換える。1週間に1度、センサーを付け替える。という作業が必要で、これらは医療行為になるようです。作業自体はそれほど難しくもありませんが、問題は食事にあわせてインスリンの量を調節すること。血糖値が200を超え続けると、将来糖尿病による深刻な合併症を起こすことになります。逆に強くインスリンを打ちすぎると低血糖となり、体に深刻なダメージが起こり、死に至る可能性もあります。ただ、センサーが高血糖も低血糖も知らせてくれるため、深刻な事態になることはあまりありません。
▶︎予後
現在は私、妻、親せきの甥や義理の妹など、血糖測定とポンプの操作を覚えてくれる身内も増え、生活にはあまり支障がない状況です。しかし、とても残念なことは、それまで通っていた公立の保育園から、インスリンポンプの操作は医療行為となり、看護師を配置することはできないので、退園するよう促されたことです。せっかく入った保育園でしたので、何とか看護師配置を検討するよう市に頼んでもらえないか、担当の保健師に依頼しましたが、回答は検討はしたが無理ですとのことでした。(気になったので、後ほど市議から訪ねていただくと、実際は検討もされていなかったそうです。こちらからの要望はこちらから取り下げたことにされていたそうです。)保育園に預けられないとなると大変だなと考えていた折、緊急入院をした地域の病院が、病児保育をする認可外の保育施設を運営されていてそこで預かっていただけることになりました。本当にこの民間病院には助けていただいて感謝しています。
▶︎同じ境遇の方にアドバイス
1型糖尿病は珍しい病気ですが、地域に数名程度、同じ病気の子どもがおられると思います。定期的に家族会なども行われています。一定気持ちの整理がついたら、出かけて話をしてみてください。病院によって、インスリンポンプを推奨していないとか、保育園や小学校の取組状況も違うようです。日本IDDMでも、1型患者の境遇を改善するため働きかけもされています。印象として、都道府県は難病患者に手厚く心を寄せてくれますが、市町村は温度差があるように感じます。できるだけ多くの情報を多方面から聞くことは大切だと思います。
うれしかったお見舞い品と、その理由
終始、元気はない状況が続きますが、絵本を読み聞かせてあげると嬉しそうでした。難病での入院なので身内以外に知らせることもなく、お見舞いも遠慮していただきました。
病院食のおかずとして用意してよかったもの
血糖コントロールが発症初期は難しいため、病院の指示通りに食事をする必要があります。それでも、時に食事を嫌がったりするため、ブドウ糖を摂取させることになります。
暇つぶしとしてやっていたことと、その感想
子どもと、絵本を読むことと、wifiを持ち込んで(病院なのであまりよくはないのでしょうけれど、)アニメの動画を見たりしてました。
役にたった便利グッズと、その理由
ポケットwifiです。病院内はネット環境がなかったため、必須アイテムでした。
今1番楽しみにしていること、生きていてよかったと思えるようなこと
1型糖尿病は不治の病ですが、血糖コントロール以外は、健常者と変わりなく生活することができます。良し悪しですが、障害者の対象から1型糖尿病は外されたました。(そのため成人してからの費用負担が重たいですが。)子どもが他の子どもと変わらず成長していることはとてもうれしく思います。また、同じ1型糖尿病患者でも、日本IDDM副理事長の大村詠一さんや、現在も阪神タイガースで活躍中の岩田稔投手、他社会で活躍されている方々と娘が触れ合う機会もあり、とても勇気付けられます。娘は3歳ですが、もう自分で血糖測定をしようと練習していますし、医療にも関心があるのかもしれません。この病気がきっかけとなって将来、他の病気や障害についても深い見識を持って接していけるような社会人になってくれるよう願っています。
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